すずめ農園の生きものブログ

仙台市泉区の里山・泉ヶ岳で出会う生きもの。

いきものNo.10渋柿

渋柿(シブガキ)の万能選手っぷりがほんとにすごくて、

感激に打ち震えてます!笑

 

その渋柿の活用をいくつかお伝えしますね。

 

夏の終わりのまだ青い柿は、

つぶして発酵させて、柿渋(カキシブ)になります◎

 

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この柿渋、茶色に布を染めることができるんですけど、

(柿渋染めのバックとか小物とか、たまに売ってますよね。素敵なシブい茶色のやつ)

 

他にも和紙や木に塗って、防腐効果を発揮するというすぐれもの。

昔は家や家具に使われていたらしいです。

 

仕込んでから数年熟成させると色が濃くなるそうです。

今年はじめて仕込んだので、数年後、使うのが今から楽しみ♪

 

秋に、オレンジ色に熟したら、

皮をむいて、吊るして干して、干し柿に。

 

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  今年はベランダ干し

 

きっと世界一大きい丸ごとのドライフルーツなのではないでしょうか。

中身がとろとろの干し具合も、がっちり固いくらいの干し具合も、

どっちも好き♡

 

干しながら、1日1個つまんで食べて

日々の干し具合を楽しむのが、手作りの醍醐味です☆

 

あと、ヘタのところに焼酎をつけておくと「渋抜き」になって、

甘柿みたいに食べることができますよね。

※日本にはもともと渋柿の木しかなくて、甘柿の木は突然変異なのだそう。

 そういえば渋柿は地域ごとに在来種みたいなのあるけど、甘柿はあまりそういうの聞かない気がする。

 

そのままでは渋くて食べられない渋柿、

干すと、焼酎をつけると、なぜ甘くなるんだろう。

 

渋味の成分はタンニンなんですが、もっと正確にいうと水溶性タンニンなんです。

そして味覚を感じる舌の細胞・味蕾(みらい)は、水溶性(水に溶ける)物質を味として感じる器官なので、水に溶けない成分は、感じられないようにできています。

 

水分がほとんどないものでも唾液と混ぜあわされて、味蕾が味を感じる仕組みになっています。

 

渋柿の渋み・水溶性タンニンは、

干すことで、アルコールが作用することで、

不溶性(水に溶けない)タンニンに変身!

味蕾で渋みを感じられなくなるというわけなんです。

 

「渋抜き」というからには、渋みが揮発して抜けて消えてしまうようなイメージですが、干し柿の中にも、渋抜きした柿の中にも、じつはちゃんとタンニンが存在しているんですね。

 

存在しているけど

感じなくなるだけ、という不思議。

 

そういう成分変化を科学的にしらないずっと昔から、

暮らしのなかでやっているところが日本の文化のすごいとこ◎ 

 

 

干し柿をつくっていると、ぶよぶよに熟して、皮をむくのが大変なやつがたまにあります。そういうやつは、甕やビンに入れて発酵させて、柿酢をつくることができます。

 

これも今年はじめて仕込みました。

ちゃんと酸っぱい匂いになったけど、味はまだ酢になりきってない感じ。

もう少し熟成させてみようと思います。

お料理に使うのが楽しみです♪

 

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  ザルで濾したら濁りがすごい。さらしで濾さないとかなー

 

渋柿の活用のまとめ。

 

青いうちは柿渋に

熟したら干し柿

熟しすぎたら柿酢に

 

どんな状態でも使える!

染めや防腐剤に、食べものに、調味料に、なる!

 

優秀すぎるよー!!

 

 

いまの時代では、

色は化学染料で染めればいいし、

化学的な防腐剤で処理すればいいし、

保存食や調味料なんて作らなくても、いつでもなんでも買えちゃうし、

 

渋柿の能力があまり活かされていない

必要のない世の中。


でもね、自然に根ざして生きたいと願う人が増えています。

地球と暮らす、そういう意識をもったとき、

渋柿は、大切な暮らしのパートナーになるのだと思います◎

 

渋柿の才能を存分に発揮させてあげられる

そんな人間になりたいな

そんな暮らしをつくっていきたいな

と思うのでした。

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  昔は干し柿は藁に包んで保存していたそう。通気性がいいのでカビにくいみたい。